OSCAの技術ブログ

WEBエンジニアの技術ブログです。 日々の制作活動・業務の中で調査したことなどを記事にします。

AI EXPO North America 2017 に参加してきた

 米国時間の11月29〜30日に、シリコンバレーの Santa Clara Convention Center で開催された AI EXPO North America 2017 に参加してきました。 頭の整理のために所感をまとめようと思います。

イベントの概要

 開催日時・開催場所は上記の通りで、Blockchain EXPO North America 2017IoT TECHEXPO North America 2017 との同時開催で、参加者は3つのカテゴリの出典やカンファレンスをみることができました。 僕は全てのオプションがついた Ultimate Ticket ($1,350) を購入して、特別なセッションも2日間自由に見られるようにしました。

 今回は AI 関連の情報収集を目的として参加しましたが、AI に関しては約30社程度の出典でした。 展示だけをみたいのであればわざわざサンタクララまで来る必要はなく、各社企業のプレゼンテーション・カンファレンスに参加することに価値があったイベントだと感じました。

目新しいサービスや発表が見れたか?

 今回の EXPO において「こんな製品・サービスは今までに見たことはない!」というものは特にありませんでした。 また「新サービスの発表」のような発表もなかったと思います。 Google などのセッションなどに参加しましたが、既存サービスの説明という感じです。 (大きい企業は自社の製品発表イベントで発表するのが一般的だと思うので、特に期待してなかったので想定内です)

参加したカンファレンス

 日本の EXPO では直接話しを聞けないような Pinterest, NASA, Disney などのカンファレンスがあり、とても有意義でエキサイティングでした。 次のようなタイトルのセッションに参加しました。

  • Keynote: The AI and Machine Learning Revolution
  • Disney Research : Modeling Sequential Decision Making in Team Sports using Deep Imitation Learning
  • NASA : AI powering missions to Mars
  • VISA : Build AI for Next Generation Cyber Security
  • Google : Build a conversational agent in minutes
  • wayfair : How AI is changing the shopping experience – Going beyond shopping assistants.
  • Chatbase : How to Save Time Optimized Chatbot
  • Piterest : How Pinterest uses machine learning in Homefeed and obtains 200m MAU

AI の未来について

 今回のカンファレンスに参加して改めて感じさせられたことは、中期的なインターネットの未来についてです。 次のような数字を提示しているセッションがありました。

  • By 2020...
    • 30% of web browsing sessions will be done without a screen.
    • 50% of all searches will be voice.
    • >85% of customer interactions will be managed without a human.

 検索の50%は音声検索になるという主張です。 あと3年という短い期間で50%もが音声検索になるというのは、少し過剰な主張な気がしますが、方向性としては現実的な主張に思えます。 インターネットの歴史として、PC、ガラケー、スマートフォンという順番にインターネットクライアントが発展してきましたが、スマートフォンの次のデバイスとして Google Home や Amazon Echo などの音声デバイスのニーズが高まるということです。

チャットボットと音声デバイスの関係について

 もう1つの気付きは、チャットボットと音声デバイスの関係性です。 各社がチャットボットにこれほどまでに注力しているのは、AI のロードマップとしてチャットボット技術は、音声デバイス技術の中間地点であるということがあります。 音声デバイスによる AI との対話は、音声をテキスト変換して AI に物事を考えさせます。 結局はデバイス内で AI とのテキストチャットが行われているのと変わらない。 ということから、チャットボットの技術発展が、音声デバイスの技術発展に繋がるというわけです。

 今回の EXPO 参加でのもっとも大きな収穫はこの気付きであり、テキストの分類・自然言語解析に注力したいという思いが強くなりました。

チャットボット用サービスについて

 今回の EXPO では、次のようなチャットボットサービスが出典をしていました。

 また今回出典していなかった Microsoft などもチャット用のサービスを提供しており、ライトに始めたいのであればこれらのサービスを利用すれば良さそうです。 僕自身も、このような WEB API ベースのサービスを利用することから、チャットボットの開発を始めたいと思いました。

我々はどうすべきか?

 どんな業態にでも利用できる汎用的な AI プラットフォームやライブラリに関しては、僕らが今から新しいものを作っても Google, Microsoft, AWS などに敵うわけもなく、そこで戦うのは難しいと思います。 僕のような SIer のような人間は、今までもやってきたように業態や業務に特化したものを考えて行く必要があると感じており、そこにビジネスチャンスがあります。 今回の EXPO においては、B2B向けに特化したサービスや製品を目にすることはほとんどありませんでした。 EXPO において AI 分野の出展が少なく、さらにB2B向けの出展がほとんどなかったのは、まだ AI における市場が成熟しておらず、研究段階であるためかもしれません。

その他のメモ

 その他、今回の EXPO で感じ取れたことを箇条書きしたいと思います。

  • ゲームやデザインの分野では、欠損データを補完することに AI を利用し始めています。
    • 例えば3Dテクスチャが欠損している場合に、周辺のテクスチャを元に推測してテクスチャを補完します。
    • 人間のモデリングなどにおいても、マツゲやヒゲなどを伸ばしたりするようなこともやっています。
    • 与えた画像データを「ピカソ調」などの、ある特徴に似せるようなことにも AI を活用しています。
  • WEBサイトにおいては、A/Bテストの実現にも AI を活用し始めています。
  • ハードウェアの動作にも AI が活躍し始めています。
    • 自動車の自動運転はご存知の通り。
    • 工場などにあるロボットアームも、様々な形状の物を掴む学習を行い、どんな形状の物でも掴めるロボットアームを実現しています。
  • スポーツの戦略にも AI を使おうという取組みが行われています。
    • バスケットボールやサッカーの試合をビデオ認識し、選手やボールの動きを学習します。
    • ゴールを決めることができた選手のフォーメーションなどを学習して、試合の戦略にフィードバックします。

 企業カンファレンスの細かいメモもたくさんとったのですが、後日スライドが公開されるということもあり、ここでのメモはこのくらいにしようと思います。

 今回は本EXPOへの参加と、シリコンバレーの企業訪問を目的にアメリカに来ています。 明日もまた企業訪問。 あと少しの間、シリコンバレーの空気を満喫したいと思います。

OSCA

初級WEBプログラマー。 Java, PHP を利用したアプリケーションを開発しています。 写真も好きで一眼レフを持って散歩するのが好き。

リンク